円形脱毛症で使われるお薬
監修:なごみ皮ふ科 院長 医学博士 齊藤典充先生
野村皮膚科医院 院長 医学博士 野村有子先生
円形脱毛症の治療薬は複数ありますが、治療方法と同様に根治に至る治療薬は確立されていません。しかし、過去の臨床結果から、効果の高さやリスクなどが明らかになってきています。
ここでは、社団法人日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2017」の策定に参加された横浜労災病院の齊藤典充先生の監修の元、使用を考慮しても良い各治療薬についてご紹介いたします。
使用を考慮しても良い内服薬(飲み薬)
抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
花粉症などのアレルギー症状を緩和する治療薬です。
アトピー素因(アトピー性疾患「アトピー性皮膚炎」、「気管支炎」、「アレルギー性鼻炎」のいずれか)を持った単発型および多発型の患者に、脱毛範囲の縮小が認められています。
セファランチン
アレルギー反応を抑制する作用や、血流を促進する作用などがある治療薬です。
脱毛斑の縮小の根拠は薄いとされていますが、国内での診療実績も多いため、単発型および多発型の治療において、他の治療と共に併用されます。
副作用として、胃の不快感や食欲不振などが発生することがあります。
グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合薬
グリチロン®という薬は、炎症やアレルギーを抑える作用があります。
科学的な検証は不十分ではあるものの、国内で多くの診療実績があるため、単発型および多発型の治療で使用されています。主な副作用として、血圧上昇や腹痛などが報告されています。
ステロイド内服
炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの飲み薬です。
高い効果が実証されている反面、子どもへの使用は行なっておりません。また、ステロイドを飲むことをやめた後に、高い確率で脱毛が再発する危険性があります。そのため、脱毛が広範囲に広がった成人の患者のみに用いられる飲み薬です。
副作用として、肥満、糖尿病、生理不順、消化器不全などを発症する場合があります。
使用を考慮しても良い外用薬(塗り薬など)
ステロイド外用
炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの塗り薬です。
一般的な治療法として多くの皮膚科で採用されており、国内で豊富な治療実績があります。
科学的な根拠となる研究報告がいくつも出てきており、有効性が確かめられた治療法の一つです。
塩化カルプロニウム外用(フロジン液)
市販の育毛薬にも含まれている成分で、発毛効果が認められています。
発毛効果の検証が不十分とされていますが、国内で膨大な診療実績があります。副作用としては、発汗やかゆみ、かぶれ、炎症等が発生する場合があります。
ミノキシジル外用
発毛効果が認められている薬で、血管を拡張する効果があります。
脱毛範囲を縮小する根拠は弱いとされていますが、海外で多くの診療実績ががあります。