単発で無治療でも治る人。広範囲に及び治癒までに長い期間を要する人。一口に円形脱毛症と言っても、かなりの個人差があるようです。

夫は治療の末に完治しました。3年以上経過し、今のところ再発もしていません。一方私は、重度の円形脱毛症を発症してから10年以上が経ちますが、完治はしていません。症状が落ち着いて髪が生えてくる時期はありますが、完全に治る前に再発するのがいつものパターンです。残念ながら、ながらく「円形脱毛症の人」のままで過ごしています。

ですが、発症当時と比べると、病気の捉え方は大きく変わりました。重症化して髪が無くなってしまった当初は、自分の人生は終わったと感じてしまうほどでしたが、今は落ち込んだり悩んだりすることはありません。

「時間薬」の効果でしょうか。

時間薬とは、私がまだ悩んでいたその昔、脱毛症の先輩から教わった言葉です。今は辛くても、時がいろんなことを解決し癒してくれるという意味です。まさにその言葉通り、私は時間の経過と共に病気を苦にすることがなくなっていきました。時間薬の効果は、私にはてき面でした。もちろん時間薬ではなく、文字通りの薬が効いて円形脱毛症が治ってくれても良かったのですが（笑）、今は病気を治すことよりも、自分の生活を楽しいものにするために、病気の不便さをどう越えるかということの方に興味があります。

軽症だったり短期間で治る人と、重症化したり治療が長期間に及ぶ人とでは、病気に対する姿勢や考え方も大きく異なってきます。重症であればあるほど、長期間であればある程、越えるべき壁は高く感じるかもしれません。ですが、近年新薬も開発されました。ある時突然治ってきた知人の例もあります。希望は捨てきらずに、焦らずに。共に越えていきましょう。