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皮膚科医から学ぶ円形脱毛症の「治療薬(飲み薬・塗り薬)」とは

最新更新日:2026/04/07

円形脱毛症の治療薬は複数ありますが、治療方法と同様に根治に至る治療薬は確立されていません。しかし、過去の臨床結果から、効果の高さやリスクなどが明らかになってきています。
ここでは、監修医の元、一般的によく使用される各治療薬についてご紹介いたします。

お薬手帳と円形脱毛症の治療薬

監修

なごみ皮ふ科院長医学博士の齊藤典充先 齊藤典充先生
なごみ皮ふ科 院長 医学博士
専門:脱毛症
所属学会:日本皮膚科学会、日本臨床毛髪学会
野村皮膚科医院院長の野村有子先生

野村有子先生
野村皮膚科医院 院長
皮膚科専門医、医学博士
専門:アトピー性皮膚炎、ニキビ、脱毛症
所属学会:日本皮膚科学会、日本研究皮膚科学会


【最新】重症の円形脱毛症治療用の新しい飲み薬

JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬 またはJAK3/TECファミリーキナーゼ選択的阻害薬

円形脱毛症の病態である「自己免疫の作用によるリンパ球の毛包への攻撃」を抑える薬剤で、重症もしくは極めて重症で一定期間発毛がない円形脱毛症治療用の新しい飲み薬です。内服により毛包が攻撃を受けなくなり、発毛が期待できます(※)。また円形脱毛症以外でも通常の治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎や関節リウマチにも使用されています。

(※)2022年6月より保険適用となりました。JAK阻害薬は15歳以上、JAK3/TECファミリーキナーゼ選択的阻害薬は12歳以上で頭部全体の50%以上の毛髪が脱毛し、6か月以上発毛が診られない重症円形脱毛症の患者さんが治療の対象となります。

円形脱毛症を引き起こす原因の一つに、サイトカインという物質が過剰に働くことで、免疫細胞が毛根を攻撃することが知られています。JAK阻害薬はそのサイトカインを抑えることで、毛根を攻撃している免疫反応を取り除いて、髪の毛を生えやすくします。サイトカインのみならず、免疫細胞そのものの働きも抑えます。内服後、早ければ数か月後には髪の毛が生え始めますが、半年以上の時間がかかる場合もあります。効果には個人差がありますので、症状をていねいに観察しながら、その患者さんに合った治療方法を選択することが大切です。

この治療は内服前に問診や血液検査、胸部X線写真の撮影などの検査が必要になります。治療を安心して続けるために、投与後も定期的な検査が必要となります。そして頻度は低いですが、咽頭炎や帯状疱疹、貧血などの副作用が現れることがあるので注意も必要です。そのため、皮膚科専門医の在籍する承認された病院やクリニックでのみ処方が可能です。

なお、JAK阻害薬は健康保険適応となりますが、保険診療3割負担で1ヶ月約44,000円~52,000円と治療費が高額ですので、医療費の助成制度を受けられる可能性があります。厚生労働省のホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」に詳細が掲載されていますのでご参照ください。今まで治りにくかった重症の円形脱毛症の救世主となるかもしれません。お悩みの患者さんは、ぜひ皮膚科の先生にご相談ください。

一般的によく使用される内服薬(飲み薬)

飲み薬とコップに入った水

抗ヒスタミン薬

花粉症などのアレルギー症状を緩和する治療薬です。
アトピー素因(アレルギー性疾患「アトピー性皮膚炎」、「気管支炎」、「アレルギー性鼻炎」のいずれか)を持った単発型および多発型の患者に、脱毛範囲の縮小が認められています。

セファランチン

アレルギー反応を抑制する作用や、血流を促進する作用などがある治療薬です。

脱毛斑の縮小の根拠は薄いとされていますが、国内での診療実績も多いため、単発型および多発型の治療において、他の治療と共に併用されます。
副作用として、胃の不快感や食欲不振などが発生することがあります。

グリチルリチン、メチオニン、
グリシン複合薬

グリチロン®という薬は、炎症やアレルギーを抑える作用があります。
科学的な検証は不十分ではあるものの、国内で多くの診療実績があるため、単発型および多発型の治療で使用されています。主な副作用として、血圧上昇や腹痛などが報告されています。

ステロイド内服

炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの飲み薬です。
高い効果が実証されていますが、ステロイドの副作用を考慮し、漫然と長期にわたり使用しないようにします。原則として子どもへの使用は行っておりません。また、ステロイドを飲むことをやめた後に、高い確率で脱毛が再発する危険性があります。そのため、脱毛が広範囲に広がった成人の患者のみに用いられる飲み薬です。

副作用として、肥満、糖尿病、白内障、緑内障、生理不順、消化器不全、骨粗鬆症などを発症する場合があります。

一般的によく使用される外用薬(塗り薬)

塗り薬のチューブ

ステロイド外用

炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの塗り薬です。

一般的な治療法として多くの皮膚科で採用されており、国内で豊富な治療実績があります。
科学的な根拠となる研究報告がいくつも出てきており、有効性が確かめられた治療法の一つです。

塩化カルプロニウム(フロジン液)外用

市販の育毛薬にも含まれている成分で、発毛効果が認められています。

発毛効果の検証が不十分とされていますが、国内で膨大な診療実績があります。副作用としては、発汗やかゆみ、かぶれ、炎症等が発生する場合があります。

ミノキシジル外用

発毛効果が認められている薬で、血管を拡張する効果があります。
脱毛範囲を縮小する根拠は弱いとされていますが、海外で多くの診療実績があります。

市販薬は円形脱毛症に効くのか

薬局(ドラッグストア)で薬を選ぶ女性

円形脱毛症について、確実な治療効果が科学的に確認されている市販薬はありません。日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドライン2024¹⁾では、エビデンスレベルが比較的高く、推奨される治療として、「ステロイド療法(局所注射・外用・内服など)」、「局所免疫療法」、「経口JAK阻害薬またはJAK3/TECファミリーキナーゼ選択的阻害薬」などが位置づけられており、市販薬(要指導医薬品もしくは一般用医薬品)は推奨される治療として挙げられていません。

ドラッグストアなどで購入できる市販の育毛剤・頭皮ケア製品の多くは、血流改善・保湿・頭皮環境の整えなど補助的なケアにとどまり、円形脱毛症の原因とされる自己免疫反応を治すための薬ではありません。一方で、市販の育毛剤にも使われる「ミノキシジル」の成分ついては、血流改善を通じて発毛を助ける可能性があるとされ、日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドライン2024¹⁾上は、ミノキシジル外用療法は推奨度2(弱い推奨)と位置づけられています。²⁾ただし効果は限定的で、それだけでの改善は期待しにくいとされています。 なお、ミノキシジル内服薬(タブレット)は、日本国内では未承認であり、市販されておりません。また、円形脱毛症と思いきや、違う皮膚疾患の例もあります。以上のことから、円形脱毛症が疑われる場合は、まず皮膚科を受診して適切な診断の上、治療を受けましょう。

以上のことから、円形脱毛症が疑われる場合は、まず皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。
円形脱毛症の治療については以下の記事もご覧ください。
皮膚科医から学ぶ円形脱毛症の「治療法」とは

円形脱毛症の薬はどれくらいで効果が出る?(服用期間の目安)

錠剤の薬を飲む女性

薬の効果が現れるまでの時間は、症状・脱毛範囲・罹病期間・体質などによっても異なります。 例えば、JAK阻害薬(ヤヌキナーゼ)またはJAK3/TECファミリーキナーゼ選択的阻害薬での治療の場合、早い方では数か月後に発毛がみられることもありますが、半年以上の時間がかかることもあります。 また、単発型などの局所的な脱毛の治療に用いられるステロイド外用薬は、数か月単位で経過を確認して治療を進めていくのが一般的です。定期的に診察を受け、副作用が出ていないか、効果が出ているかなどを確認しながら、根気よく治療を続けることが大切です。

上記の通り、薬によっても差はありますが、薬の効果が出て髪が生えるまで、最低でも数か月かかることが多いです。その間の不安や日常生活での負担を軽くするために、脱毛部分を自然にカバーできるウィッグを上手に取り入れながら、治療を続けていくことも有効です。直接治すものではないものの、ウィッグを使用することで心理的負担の軽減に繋がり、結果としてストレスの軽減に繋がることもあります。

スヴェンソンでは、薬の効果が出るまでの間だけでもウィッグをお使いいただける「定額制プラン」もご用意しております。ウィッグだけでなく、円形脱毛症に悩む方の生活や環境に合わせてサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

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円形脱毛症の薬の費用はいくら?

健康保険証と領収書

費用は薬の種類や服薬・投与量、処方日数などで大きく変わります。 例えば、外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)は種類にもよりますが、自己負担3割の場合、月数百円〜数千円程度で処方されることが多いです。 一方、JAK阻害薬(ヤヌキナーゼ)またはJAK3/TECファミリーキナーゼ選択的阻害薬は、保険適用となりましたが、それでも3割負担で毎月約44,000〜52,000円の自己負担額となり高額な治療となります。重症の患者さんが治療対象となりますので、皮膚科医の診察を受け、相談して決めていくと良いでしょう。

治療が長期化することも多い円形脱毛症では、「治療費用が心配」という声は少なくありません。治療費が高額になる場合、高額療養費制度などが利用できる場合もあります。制度の条件や申請時期などを早めに確認しておくとよいでしょう。また、治療方法に関しては皮膚科医師に気軽に相談をしてみましょう。

FAQ

Q1. どの薬が一番効きますか?
A.症状・脱毛範囲・アトピー素因などの併存疾患の有無などによって処方される薬も異なるため、「この薬が一番効く」とは一概に言えません。皮膚科医師がしっかり診察し、患者さん一人一人に合った最適な治療方法や薬をご提案します。

Q2. 市販薬で治りますか?
A.市販薬のみでの改善は科学的に確認されていません。ミノキシジル外用の効果は皮膚科での治療と合わせた補助的な役割にとどまり、それだけでの改善は期待しにくいとされています。

Q3. 副作用が心配です。大丈夫ですか?
A.副作用は薬ごとに異なりますので、医師が開始前に説明を行います。もしご不安があれば、診察時にご遠慮なくお尋ねください。そして、医師の診察や薬剤師の指導の元、正しく使用することが大切です。普段から服用している薬がある場合は、必ず申告するようにしましょう。

まとめ

薬の説明をする薬剤師

円形脱毛症の治療には、原因や重症度、脱毛の範囲や広がり方によってさまざまな薬が使われます。その他、注射や紫外線照射など医療機関を受診した際に行う治療を組み合わせることもあります。まずは皮膚科医師の診察と必要な検査を受けて、最適な治療を一緒に探していくことが大切です。

新しい治療薬の登場が期待される今、円形脱毛症の治療は確実に前進しています。皮膚科での診察を受け、焦りすぎず、できることから一歩ずつ治療に取り組んでいきましょう。

¹⁾円形脱毛症診療ガイドライン策定委員会 円形脱毛症診療ガイドライン2024 日皮会誌 134(10):2491-2526, 2024
²⁾円形脱毛症診療ガイドライン策定委員会 円形脱毛症診療ガイドライン2024「CQ11 ミノキシジル外用療法は有用か」より引用

記事の監修
なごみ皮ふ科院長医学博士の齊藤典充先

なごみ皮ふ科 院長
医学博士

齊藤典充先生

記事の監修
野村皮膚科医院院長の野村有子先生

野村皮膚科医院 院長
皮膚科専門医、医学博士

野村有子先生