円形脱毛症のQOLを考える かわら版タイトル

QOL便り

 

激しい運動をする場合


ウィッグの固定方法は色々ありますが、両面テープでの固定がお勧めです。しっかりと固定されていればランニングはもちろん、全力で走っても簡単に外れることはありません。固定する医療用テープには強弱があるので、運動の種類やお肌の調子で使い分けることが大切です。さらに、ウィッグの上からヘアバンドやはちまきなどで固定する方法もあります。また、帽子やヘルメットなどが必要な場合は着脱時に一緒に脱げないように意識しましょう。多くの運動は、万一の場合に備えてしっかりと固定すれば、ほぼ問題無く行うことが出来ます。

ウィッグでも水泳出来ますか?

多くの運動はほぼ問題無いとお伝えしましたが、水泳はあまりお勧めできません。

理由として、
・潜水中に水圧でウィッグが外れる危険性があること
・アフターケアが少々面倒なこと
が挙げられます。

・潜水中のウィッグについて
医療用テープでウィッグをしっかりと固定し、さらに水泳キャップ、ゴーグルで固定することである程度回避はできますが、それでも外れる可能性は陸のスポーツよりも高くなります。

・アフターケアについて
プールに含まれる塩素がウィッグを傷める原因に繋がります。それでもプールに入らなくてはいけない場合は、上記で上げました「固定」をしっかりと行いましょう。



学生の場合は体育の授業があります。可能な範囲で参加してほしいと思いますが、万一の場合に備えて、事前に学校側にウィッグ着用についてあらかじめ伝えておくと良いです。状況に応じて対策を一緒に考えてもらい、周囲の人々にも認知をしていただくことで、気持ちも楽になります。(※子どもの円形脱毛症時の対応について、詳しくはこちら

ウィッグ使用者にとって運動はハードルが高いものかもしれません。しかし、徐々に自己流の方法も見つかります。運動はストレス解消にも繋がりますし、毛穴を開かせることでの老廃物の排出、頭皮の血流の促進による育毛にも繋がります。
コロナ禍で運動量が減っている方も多いと思います。準備や事前の段取り次第で心地よく運動することも可能です。

耳寄り情報

 

子供の円形脱毛症の対応について

今回は、筆者が今から13年前に出会った、全頭型の円形脱毛症を患ったお子様のことを紹介いたします。当時筆者はスヴェンソンの静岡店舗に勤務しており、ちょうどゴールデンウィークが終わった頃、親御さんが小学校6年生の娘さんを連れて、ウィッグのご相談に来られました。
急に後頭部の方から脱毛が始まり、店舗に来られた時は見て明らかに脱毛していることがわかるほど進んでいました。病院の皮膚科に診てもらい、「円形脱毛症で、すぐには治らない」と診断されてご本人以上にご両親がショックを受けていました。お嬢さんは部屋でも帽子を被ってうつむいたままでした。

「今をなんとかしなきゃ」ということもさることながら、親御さんが一番気にしていたのは、「たとえ将来は治ったとしても、この姿で修学旅行の写真に残したくない」ということでした。私はスタイリストと一緒に、お嬢さんに似合いそうなセミオーダーのウィッグを見立てて試着をしていただきました。ウィッグの力は偉大で、鏡でご自身の姿を見た瞬間、うつむき加減だった表情がパッと明るくなったことが今でも目に焼き付いています。

「学校ではどう過ごせばいいのでしょうか?」
「体育やプールの授業の時などはどうするのか?」
「周囲に隠しきれるのか?」
「いじめられないか?」 

ウィッグを身に着けたとしても悩みは尽きません。 
私は「学校の先生に報告して、先生から生徒に公表してもらったらどうですか?」という提案をしました。一瞬、お譲さんの顔が曇りましたが、「ウィッグがとても自然なので、周囲の人は着けていることなどすぐに忘れてしまいます」とアドバイスをしました。その後、その日のうちに頭にフィットするようにベースのサイズを調整し、いつものヘアスタイルとほとんど変わらない姿でお帰りいただきました。学校では、ウィッグを着けて登校した当日の朝に担任の先生から公表していただき、以来、周囲のクラスメイトの態度が一気に変わって、以降は何事もなかったかのように普通に接してくれるようになったそうです。 

時は過ぎ、夏のある日。お嬢さんがウィッグの調整で親御さんとお店に来られた時に、写真を見せていただきました。そう、修学旅行で撮った写真です。この上ない笑顔で写っていたのが印象に残っています。 
ウィッグの使い方ひとつで、髪で悩みを持つ方の人生は好転します。こういったことをもっと多くの人々に知っていただけるように、これからも活動を続けてまいります。

円形脱毛症における脱毛部分の上手な隠し方についてご紹介。円形脱毛症.comでは円形脱毛症でお悩みの方をハートフルサポートする情報サイトです。

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