皮膚科医から学ぶ円形脱毛症の「治療法」とは
最新更新日:2026/02/24

本記事では、日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン2024」(1)に沿って、皮膚科医監修の元、現在一般的に行われている治療法・治療期間・費用の目安を最新情報として整理しました。これから、もしくは今行っている治療について理解が深まるように解説します。
監修
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齊藤典充先生 なごみ皮ふ科 院長 医学博士 専門:脱毛症 所属学会:日本皮膚科学会、日本臨床毛髪学会 |
|---|---|
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野村有子先生 |
円形脱毛症とは
「円形脱毛症」は、頭皮の一部に境界のはっきりした脱毛が突然あらわれる疾患です。
原因は様々で、1つでないこともありますが、免疫のはたらきが乱れ、毛包が攻撃されることで脱毛が起こる「自己免疫疾患」の影響とする説が有力です。10円玉程度の脱毛斑が1~2か所みられる場合もあれば、複数に広がる、あるいは頭全体や眉・まつ毛・体毛まで及ぶ場合もあります。いったん発毛が回復しても、再発を繰り返すケースがあるのも特徴です。
子どもから大人まで幅広い年代に発症し、自然に改善する場合もありますが、複数に広がったり、急速に進行するケースでは早期の治療が必要となります。
皮膚科医監修|円形脱毛症でよく行われる治療法

円形脱毛症の治療は、脱毛の広がりや進行スピード、年齢などによっても異なります。
本記事で紹介する治療法は、日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン2024」(1)に沿っており、皮膚科で一般的に行われている治療の一例です。
なお、どのような治療を行うかは、医師が診察時に脱毛の広がりや進行の速さ、年齢、既往歴などお伺いした上で判断します。
インターネットの情報だけで治療を自己判断したり、自由診療を即決したりせず、まずは皮膚科で診察を受けて、ご自身に合う治療について相談してください。
一般的によく行われている治療法
脱毛斑が1か所と限られる場合や、複数か所円形が出来ている場合でも早期であれば比較的改善しやすく、多くのケースで以下の治療が行われます。
内服薬(飲み薬)の使用
下記の内服薬(飲み薬)は、円形脱毛症の治療に使用される場合があり、効能が確認されています。
詳しくは、治療薬ページをご確認ください。

- 抗ヒスタミン薬
アレルギー症状を緩和する薬のため、アトピー素因をもつ患者さんにも効果が認められています。 - セファランチン
アレルギー反応の抑制作用および血流促進作用のある薬です。 - グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合薬
炎症やアレルギーを抑える作用がある薬です。 - ステロイド内服
炎症や免疫機能を抑える作用のある飲み薬です。子どもへの使用は行っていません。
外用薬の使用
下記の外用薬は、円形脱毛症の治療に使用される場合があり、効能が確認されています。
詳しくは、治療薬ページをご確認ください。

- ステロイド外用
炎症を抑えることで、発毛を促します。 - 塩化カルプロニウム外用
血流促進作用のある外用薬で、市販の育毛剤にも含まれている成分です。 - ミノキシジル外用
血管を拡張する効果があり、発毛促進のために使用されることがあります。
冷却治療
ドライアイスや液体窒素などを脱毛斑にあてる治療法です。正確な機序はわかっていませんが、誤作動を起こした免疫細胞の働きを抑えて、毛髪の再生を図る治療法です。
治療の際は、ドライアイスを直接あてたり、液体窒素を脱脂綿や綿棒であてたり、スプレーしたりします。
治療の際、軽い痛みがありますが、簡便で副作用も軽微なため、単発型および多発型の症例に併用療法の一つとして行われます。
紫外線療法
アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などの皮膚病などに対しても行われる治療法です。
PUVA治療法、ナローバンドUVB療法、エキシマレーザー療法などがあります。
回数や頻度は症状により異なりますが、2週間に1回~4回程度、数か月にわたって治療を行います。副作用としては、紫外線を照射するため、肌の炎症、ヒリヒリや赤み、かゆみ、ひどいときには水ぶくれが生じる場合があります。
広い範囲で脱毛する全頭型や汎発型で効果があったという報告があり、軽症から重度の患者に幅広く使用されます。
脱毛範囲が広がっている・なかなか治りにくい場合の治療法
脱毛が頭全体に広がる、眉毛・まつ毛・体毛まで影響する場合は、重症例とされ、治療も変わってきます。
ステロイド局所注射
炎症や免疫機能を抑える作用のあるステロイドを、脱毛斑に注射で注入する治療法です。
症状が改善しない単発型、および多発型の成人患者に対して使われることがあります。高い水準の発毛効果がある反面、ステロイドの副作用を考慮し、原則として子どもに対しては行いません。また、注射時に痛みを伴うことと、副作用として注射部位が陥没する場合があることに注意が必要です。
局所免疫療法(Topical Immunotherapy)
人工的にかぶれを起こす化学試薬、スクアレン酸ジブチルエステル(SADBE)か、ジフェニルシクロプロペノン(DPCP)を使って、かぶれを起こさせることにより発毛を促す治療方法です。最初は1%ないし2%の高濃度なものをつけて感作させ、2週間後に低濃度なものを塗布、その後至適濃度まで徐々に濃度をあげて治療します。
本治療法は、比較的広範囲に脱毛している患者に対して行われます。子どもにも使用できます。約65%の人に発毛効果があると言われていますが、かぶれやじんま疹、リンパ節腫脹などの副作用を生じることがあり、加えてアトピー性皮膚炎、湿疹、じんま疹がある人は、一時的に症状が悪化する事があるので注意が必要です。また、治療期間が半年から1年以上で、じっくり取り組む必要があります。
有効性があるとされている治療法ですが、日本では保険適応の認可が降りていないため、自費診療となります。
JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬 またはJAK3/TECファミリーキナーゼ選択的阻害薬
円形脱毛症の病態である「自己免疫の作用によるリンパ球の毛包への攻撃」を抑える薬剤で、重症もしくは極めて重症で、一定期間発毛がない円形脱毛症治療用の新しい飲み薬です。
詳しくはこちらをご確認ください。
点滴静注ステロイドパルス療法(Steroid Pulse Therapy)
点滴により、ステロイドを3日間ほどの短期間で大量投与する治療法です。
発症後6か月以内の成人患者で、急速に進行する重症例に有効な治療法です。発症後6か月以内の患者には約6割効果が見られましたが、発症後6か月以降の患者には16%程度しか効果が見られないため、発症後早期の重症患者にのみ行われます。
発症早期の重症患者に対しては高い効果が実証されている半面、成長障害などの副作用が生じる可能性がありますので、原則として子どもには行いません。
ステロイドを大量に使いますので、入院が必要となります。不眠、動悸、頭痛、微熱、倦怠感などの副作用がでる場合があります。
ウィッグ(かつら)の使用
意外と思われるかもしれませんが、スウェーデンでは、ウィッグ(かつら)は医療器具として認められています。また国内においても多発型・蛇行型・全頭型・汎発型の患者の治療に、ウィッグ(かつら)の活用を考慮しても良いと言われています。
直接的な治療効果はありませんが、紫外線や、物理的な衝撃から頭皮を守れることが理由として挙げられます。
また、ウィッグ(かつら)を身につけることにより、普段と変わらない生活が送りやすくなることから、精神状態を改善する効能が報告されています。おしゃれの一つとして考え、楽しんで着用すると良いでしょう。
その他の治療法
シクロスポリンAを飲む
臓器移植や自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎などに使用される、免疫力を抑える飲み薬です。脱毛範囲が縮小するという報告がありますが、根拠が弱いようです。
一方で、腎機能障害などの副作用があるうえ、服用を休止した後に脱毛が再発症するケースがあるので、治療を試みる前に主治医に相談してみましょう。
また、紫外線治療と併用すると、皮膚がんのリスクが高まるため、注意が必要です。
漢方薬を飲む
ストレスの抑制に効果がある漢方(柴胡加竜骨牡蛎湯合など)を使用して、円形脱毛症が改善されたという報告があります。しかし、十分に有益性が実証されていないため、治療を試みる前に主治医に相談してみましょう。
精神安定剤を飲む
精神安定剤を飲むと脱毛範囲が縮小したという報告がありますが、科学的根拠が薄いことから、治療を試みる前に主治医に相談してみましょう。
星状神経節ブロック
首にある神経「星状神経節」にごく少量の麻酔薬を注射する治療法です。この部位に、麻酔薬を注射すると、神経のツボがマヒし、緊張がゆるみます。それにより、自律神経が調子を取り戻すことから、自律神経失調症やアレルギー疾患の治療にも行われています。
本治療で脱毛範囲が縮小するという弱い根拠の報告がありますが、一般的にペインクリニックの医師が行う難易度が高い(肺を傷つけるリスクがある)治療法のため、治療を試みる前に主治医に相談してみましょう。
催眠療法
催眠を利用した精神療法の一種ですが、効果が十分に実証されていないことから、治療を試みる前に主治医に相談してみましょう。
鍼灸治療
鍼灸は東洋医学における国家資格として認められている治療法です。
しかし、円形脱毛症の治療においては一部改善の報告があるものの、科学的な検証が十分でないため、治療を試みる前に主治医に相談してみましょう。
分子標的治療
特定の標的(分子)を狙い撃ちにして、その機能を抑える治療法で、がん治療や自己免疫疾患などに使用される治療法です。しかし、円形脱毛症の治療においては科学的な検証が十分ではありません。一部改善の報告がありますが、一方では発毛効果が無いという報告もあり、治療を試みる前に主治医に相談してみましょう。
治療期間はどのくらい?治療期間の目安

円形脱毛症の治療期間は、症状・範囲・罹病期間・治療方法・体質などによって大きく異なります。以下は治療ごとの治療期間の目安です。
脱毛斑が1つで範囲が狭い方では、早くて数か月で改善の兆しが見られる場合もありますが、脱毛範囲が広い場合や再発を繰り返す場合は半年~1年以上の治療が必要になることも珍しくありません。
大切なのは、根気よく通院を続けて医師と経過を確認しながら治療を行っていくことです。途中で自己判断で治療をやめたりすると回復が遅れることもあります。
(例)
- 外用薬が中心の場合:数か月単位で経過を確認します。
- 局所注射や光線療法:週1回〜月数回の通院を継続し、数か月以上かけて改善を目指します。
- 局所免疫療法:2週に1回程度の通院を継続します。効果が出るまでに数か月、治療全体では半年〜1年以上かかることがあります。
- JAK阻害薬内服:内服後早ければ数か月後に髪が生え始めますが、効果には個人差があります。半年~1年以上の治療が必要となる場合があります。
また、生活リズムを整える・ストレスをため込まない・頭皮に強い刺激を与えないといった日々のセルフケアも、治療の後押しになりますので治療と並行して取り組むと良いでしょう。 円形脱毛症の治療中の生活の知恵と工夫についてはこちらで色々記事を紹介しております。
治療費はいくらかかる?保険診療と自由診療
円形脱毛症の治療には、健康保険が使える治療(保険診療)と、自費で行う治療(自由診療)があります。まずはお近くの皮膚科で診察を受け、症状や年齢などを踏まえて医師の判断のもと治療を受けましょう。
治療法は、脱毛斑の広がりや経過によっていくつかの治療を組み合わせたり段階的に切り替えることがあります。
保険診療で受けられる主な治療
保険診療で受けることができる主な治療にかかる治療費用の目安をご紹介します。以下の費用目安となりますので、診察内容や処方箋の量によって差があります。詳しくは皮膚科にてお尋ねください。
※診察費用は別途かかります。
| 治療法・治療薬 | 治療費目安 | 補足 |
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内服薬(飲み薬) |
約数百円〜数千円/月(自己負担3割の場合) | 服用する薬によっても金額が変わります。 |
| 外用薬(塗り薬) ステロイド外用薬、塩化カルプロニウム外用、ミノキシジル外用など |
約数百円〜数千円/月(自己負担3割の場合) | 服用する薬によっても金額が変わります。 |
| 紫外線療法 ナローバンドUVB/エキシマライトなど |
約1,000円/回(自己負担3割の場合) | 週1〜2回から開始し、症状の改善に合わせて頻度を変更します。 |
| ステロイド局所注射 | 約数百円〜/回(自己負担3割の場合) | 限局型に用いられる治療です。実施の可否や部位、頻度は医師が判断します。 |
| JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬またはJAK3/TECファミリーキナーゼ選択的阻害薬 | 約44,000~52,000円/月(自己負担3割の場合)※治療費が高額のため、医療費の助成制度を受けられる可能性があります。 | 2022年6月より保険適用となった、新しい飲み薬です。重症円形脱毛症の患者さんが治療の対象となります。 |
自由診療(自費)で行われることが多い治療
ここでは自由診療(自費)で行われることが多い治療にかかる治療費用の目安をご紹介します。
保険診療と比較すると治療費が高額になることもありますので、治療期間や通院の頻度と合わせて治療費についてもしっかりと医師に確認しましょう。
また、PRP(多血小板血漿)療法や免疫抑制剤外用療法などは、円形脱毛症患者への治療においてエビデンスレベルが低く、日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン2024」(1)にて推奨しないとされており、かつ保険適用でないためまずは医師と相談して治療法を決めていくのが良いでしょう。
※診察費用は別途かかります。
| 治療法・治療薬 | 治療費目安 | 補足 |
| 局所免疫療法 | 約1,000円〜3,000円/回程度。 | 多発型や全頭型・汎発型などに2週に1回程度行います。 ※保険適用がないため、病院でしっかり説明を受けましょう。 |
子どもの円形脱毛症|治療の考え方と家族ができること

子どもの円形脱毛症は、自然治癒するケースがある一方で、症状が進行したり治りにくい場合があります。まずは医師と相談しながら治療を続けていきましょう。
POINT
- まずは皮膚科での診断が大切です。
- 子どもが治療に不安を感じないよう、家族や周りが寄り添いましょう。
- 学校・保育園・幼稚園との連携も大切です。
- 外見ケアへの配慮(帽子、ウィッグなど)を考えましょう。
- 1人でも多くの味方を作りましょう。
🔗 詳しくは「子どもの円形脱毛症と家族ができること」をご覧ください。
早めの受診が大切です!まずは皮膚科で受診しましょう
はじめて円形脱毛症になった方が円形脱毛症を治す上で一番大事なのは、早めに皮膚科を受診することです。
治療に関しては、「日本皮膚科学会」の診療ガイドラインを元に皮膚科では診療を行っております。脱毛に悩んでしまったら、まずは一度皮膚科で相談しましょう。
以下、円形脱毛症に理解があり、専門的な診療を行っている皮膚科クリニックを地域別に掲載しています。お近くの皮膚科があればご相談の参考にしてみてください。
🔗「全国の円形脱毛症診察対応クリニック一覧はこちら」

よくある質問(FAQ)
Q:自然に治ることはありますか?A:単発型などであれば自然に回復することもありますが、広がる場合は早めの受診がおすすめです。
Q:市販の育毛剤で治せますか?
A:医学的に推奨されていません。必ず皮膚科医に相談しましょう。
Q:JAK阻害薬は誰でも使えますか?
A:適応となる重症度があり、医師の判断が必要です。
治療中の髪の悩みを解決!ウィッグでの上手な隠し方
円形脱毛症による外見の変化は、不安や精神的な負担につながることがあります。治療の効果が出るまでの間、見た目の不安を和らげる方法として役立つのが医療用ウィッグです。
日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン2024」(1)では、かつら(ウィッグ)の使用に関して推奨度1となっており、「1:強い推奨 推奨された治療により得られる利益が大きく,かつ,それによる負担を上回るため行うよう勧める」(2)と明記されています。また、「患者のQoLを改善させる効果があると考えられる。」とあります。
医療用ウィッグは、自然な見た目と肌へのやさしさを重視して作られており、通気性があることで長時間の着用でも快適です。特に、脱毛範囲が広い場合や治療が長期化する場合、ウィッグは日常生活の自信を取り戻すための大切なサポートになります。
スヴェンソンでは、専門スタッフによるご相談や無料試着ができ、お顔の輪郭や髪質に合わせた最適なウィッグをご提案しています。さらにお客様のご要望に合わせ、購入プランと定額制プランをご用意しています。定額制プランは「今の治療であとどれくらいの期間で治るか分からない」という方でも、毎月のお支払いでウィッグをご利用いただけます。お客様に合わせた最適なプランをご用意しておりますのでお気軽にご相談ください。
▼ウィッグのご相談・来店予約はこちら

1)円形脱毛症診療ガイドライン策定委員会 円形脱毛症診療ガイドライン2024 日皮会誌 134(10):2491-2526, 2024
2)円形脱毛症診療ガイドライン策定委員会 円形脱毛症診療ガイドライン2024「 CQ25 かつらの使用は有用か」より引用


